エンジニアYくん④ 噂の彼(36歳記)
次に仕事場でYくんを見かけたのは、あの夜から2週間後でした。
仕事が落ち着き、しばらく残業をしていなかったので、Yくんを見ていませんでした。(フロアが違うので、わざわざ行かない限りはほとんど会うことはない)
会社の全体集会が行われ、数百人という人がホールへ移動する時にYくんをみつけました。遠くにいるYくんを見て、「あっ」と思い、目があった時、笑顔で手をふってくれました。
カラオケの夜のことは、だれにも話していなかったので、二人だけの秘密を共有しているような気になりました。
集会の後、火災訓練が行われました。
訓練で野外に部署ごとに整列している間、Yくんが女性たちに囲まれ、楽しそうに話しているのが見えました。
自分は、ただ単に彼のファンの一人だから。。。目で追っている自分が恥ずかしくなりました。
またもや、同僚(女性)が言いました。
「Yさん、今、彼女はいないらしいですよ」
わたし「な、なんで、そんなこと知ってるの?」
同僚「●●部署の人が言ってた。誰かが、本人にきいたみたいよ」
。。。おそろしい。会社の情報って(ゴシップ?)すぐに広まるから。。それに彼女がいないって、そう言ってるだけかもしれないし。ーーまぁ自分には関係ないことだ。
同僚「でも、最近、朝帰りしてたって言うから、本当は彼女いるのかもね」
。。どきっとしました。
ーーーそれ、あのカラオケからの帰りじゃ?? 。。まさか、違うよね。
わたし「なんで、そんなプライベートな事までみんな知ってるの?」
同僚「うちの部署のMさんが同じ会社の寮だから、そう言ってた。」
わたし「へ~、会社の寮なんて住むもんじゃないわ、何でも噂になるし。こわいね~。」
同僚「たとえ彼女がいなくても自分の歳では、まぁ、チャンスがないですけどね~。残念。」
と、30歳の同僚がいいました。
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